
棚卸しって、材料も全部数えないとダメなんですか…?

いいえ。日々在庫管理をしていれば、そこまでやらなくて大丈夫ですよ
ハンドメイド販売を続けていると、
「棚卸しはどこまでやればいいの?」
「材料やパーツも全部数えないといけない?」
「確定申告の時期が近づくと、毎年不安になる…」
そんな悩みを感じたことはありませんか。
実は、棚卸しはすべてを完璧に数える作業ではありません。
日々の在庫管理や売上管理ができていれば、棚卸しや確定申告は、特別に大変な作業にはならないのです。
この記事でわかること
- 棚卸しがどこまで必要かの判断ポイント
- 最低限やるべき棚卸しの範囲と考え方
- 実はやらなくていい棚卸しの具体例
- 棚卸しをやりすぎないための線引き
- 確定申告と棚卸しの基本的な関係
棚卸しとは?
棚卸し(たなおろし)とは、期末時点で手元に残っている在庫を確認する作業のことです。
難しく聞こえるかもしれませんが、ハンドメイド作家の場合、棚卸の目的はとてもシンプルです。「今、どの商品が、いくつ残っているのか」、「その在庫はいくら分なのか」、この2点を把握するために行います。

棚卸し=すべてを数え尽くす作業ではない
「棚卸し」と聞くと、
といったイメージを持つ方も多いかもしれません。ですが、棚卸しは完璧さを求める作業ではありません。日々の在庫管理ができていれば、棚卸しはその結果を確認する作業になります。

小さな丸カンやビーズまで完璧に数えようとすると、正直なところ、管理そのものが負担になってしまいます
ハンドメイド作家の棚卸しで一番大切なこと
ハンドメイド作家の棚卸しで、特に大切なのは『完成品の在庫』です。
◎すでに販売できる状態の商品
◎実際に売上につながる在庫
これらが、
が分かっていれば、棚卸しとしては十分な状態です。

在庫金額は「販売価格」ではなく「原価」で考える
棚卸しで考える在庫金額は、商品価格(販売価格)ではありません。制作にかかった 原材料費(原価)ベース で考えるのが基本です。
例えば、
- 商品価格:3,000円
- 原材料費:500円
この場合、棚卸しで見る金額は 3,000円ではなく500円になります。利益は、商品が売れて初めて確定するものなので、在庫の段階では含めません。

材料やパーツは、どこまで棚卸しすればいい?
材料や細かいパーツについては、すべてを個数単位で棚卸しする必要はありません。
多くのハンドメイド作家の場合、
この状態であれば、材料については「把握できている」状態と考えて問題ありません。
日々の在庫管理は、棚卸しを『年末の地獄』にしない作業
日々在庫管理をしていない場合、年末にまとめて棚卸しをしようとすると、
「何がいくつあるか分からない…」「数えるだけで時間がかかる…」「強いストレスになる…」という状況になりがちです。
一方で、日々在庫管理をしていれば棚卸しは、数値と実物を照らし合わせるだけになります。

棚卸しは確定申告につながる大切なステップ
棚卸しは、確定申告で正しい所得を出すための大切なステップです。在庫管理と棚卸ができていれば、確定申告はその数字をもとに進めるだけです。確定申告の具体的な手順については、別記事で詳しくまとめています。よければそちらもご覧ください。
在庫管理は「オンライン販売」と「対面販売」で分けて考える
ハンドメイドの在庫管理は、販売方法ごとに分けて考えるのがポイントです。
オンライン販売と対面販売では、売上の入り方・記録の残り方が大きく異なります
オンライン販売の在庫・売上管理
オンライン販売(Creema・minneなど)では、
- 商品ごとの在庫数
- 売れた日時
- 販売価格
- 振込金額(後日入金)
といった情報が、各販売サイトの管理画面に自動で残り、データをダウンロードできます。
そのため、『売れたら在庫が減る』、『売上履歴を後から確認できる』という点で、管理のハードルは比較的低めです。
ただし注意したいのは、「入金額=売上」ではないという点です。手数料や送料が差し引かれるため、確定申告では「売上」と「入金」を分けて考える必要があります。
対面販売(イベント出店)の在庫・売上管理
一方、イベント出店などの対面販売では現金のやり取りが発生するため、管理方法が少し変わります。
売上をメモする
管理人はイベント当日に必ず、下記の情報を簡単な表でメモ書きとして記録しています。

イベント出店時の売上は、伝票でなくても問題ありません。
当日その場で「いつ・どこで・何が・いくら売れたか」が分かる簡単なメモを残しておけば、売上記録として十分です
キャッシュレス利用も必ずメモしておく
対面販売でも、キャッシュレス決済が増えてきました。
そのため、『現金売上』『キャッシュレス売上』を区別するため、キャッシュレス利用の場合は備考欄にメモしています。
この記録があることで、『後日の入金確認』『売上の二重計上防止』『確定申告時の説明資料』として役立ちます。
メモ書きは「証明資料」としても有効
ハンドメイドイベントやマルシェなどの対面販売では、オンライン販売のような自動記録が残りません。
そのため、イベント当日の売上メモや、商品名・数量・金額が分かる表を残しておくことは、確定申告で指摘を受けた場合の説明資料にもなります。
形式は完璧でなくても問題ありません。「いつ・どこで・何が売れたか」が分かることが大切です。
在庫管理は「売れたら減らす」を徹底する
オンライン・対面販売どちらでも共通して大切なのは、「売れたら必ず在庫を減らす」
この一つだけです。この積み重ねができていれば、年末に慌てて数える必要がなく⇒棚卸がスムーズ⇒確定申告も楽になる、という流れにつながります。

在庫管理は「完璧」より「続けられる形」で
在庫管理は、細かくやりすぎると続きません。
特にハンドメイド作家は、制作、出品、イベント準備だけでも忙しいものです。サイト販売も行っていれば作業量もさらに多く大変です。
「毎回必ず記録する」この一点を守れる方法を選ぶことが、長く続けるコツです。
大まかには下記の3つの方法があります。
在庫・売上をまとめて管理する方法
【1】Excelで在庫・売上をまとめて管理する
私は在庫管理・売上管理を年ごとにExcelで一元管理しています。(オンライン上でスプレッドシートでの管理も可能です)
理由はとてもシンプルで、オンライン販売・対面販売・委託販売と、販売経路が増えても一つの場所で全体を把握できるからです。

Excelは3つのシートで管理しています
Excelは、用途ごとに3つのシートに分けています。
1. 商品・在庫・売上を管理するシート
1つ目のシートでは、商品単位での在庫と売上を管理しています。
主な項目は、
各項目は入力式、販売媒体はチェックを入れるだけで分かるようにしています。総数は、個別の個数や売上を入力すれば自動的に分かるようにしています。これで「今年どれくらい動いたか」をざっくり把握できます。
ここでの売上は、販売サイトの手数料を含めていません。あくまで全体像を感覚的につかむための数字として使っています。正確な売上や利益については、会計ソフトで管理しています。
2. 対面販売の売上メモを反映するシート
2つ目のシートは、イベント出店などの対面販売でメモしたものをデータとして残します。
イベント当日にメモした内容をもとに、
を、イベントの出店日ごとに1年分をまとめて記録しています。
売れた個数や売上については、1つ目のシートにも反映させており、在庫数や売上の総数が常に一致するようにしています。
メモを万が一紛失してしまったとしても、このシートがあることで、『現金売上』と『キャッシュレス売上の確認』『入金漏れの防止』『確定申告時の説明資料』としても使えます。

委託販売でも、売上が確定した時点で、対面販売と同じ考え方で在庫と売上を反映しています
3. 購入地域(都道府県別)をカウントするシート
3つ目のシートでは、購入者の地域を都道府県別にカウントしています。これは必須ではありませんが、自分の商品はどの地域で買われやすいか?の出店イベントを選ぶ際の判断材料として、とても役立っています。
「この地域からの購入が多いから、次はこのエリアのイベントに行ってみようかな?委託をしようかな?」といった判断がしやすくなります。
Excel管理のメリット
Excelで管理することで、下記のメリットがあります。
特別な機能は使っていません。続けられるシンプルさを重視しています。
在庫・売上管理に使えるExcelひな形をダウンロードできます
在庫・売上管理Excelひな形をダウンロード (74.5KB)

私が実際に使っている構成をもとにした在庫・売上管理用のExcelひな形を用意しました。一から自分で作るのが大変だなという方は、そのまま使ってくださってOKです
【2】スマホアプリを使って管理する
Excelでの管理は自由度が高く、一度ひな形を作ってしまえばとても便利ですが、「スマホで手軽に入力したい」「外出先でも管理したい」という方には、アプリを使った管理方法も選択肢のひとつです。
ここでは、在庫・売上管理に使えるアプリとして、「サッカノカンリ」をご紹介します。

「サッカノカンリ」とは?
「サッカノカンリ」は、ハンドメイド作家さんや個人事業主向けに作られた、在庫・売上管理をまとめて行えるスマホアプリです。※iPhoneアプリのみ
iPhoneやiPadから作業を行うことができ、パソコンを開かなくても管理できる点が特徴です。
主な特徴は次のとおりです。
オンライン販売・対面販売の売上をまとめて管理でき、売上や在庫の状況をスマホから一覧で確認できます。
月額300円~のプレミアムプランもあり
プレミアムプランもあり、料金は月額300円(税込)、または年額3,000円(税込・一括)で、30日間の無料トライアルがあります。自分の作業フローや商材に合わせて項目を調整できるため、
管理画面を自分好みに最適化できる点が特徴です。
※料金や提供内容は変更される可能性があるため、最新情報は公式案内をご確認ください。

スマホで手軽に在庫管理から、原価計算もできるので特にハンドメイドを始めたばかりの方は使いやすいと思います
【3】レジアプリを使って管理する
棚卸しは「年に1回の作業」とはいえ、作品数が増えてきたり、沢山売れるようになると管理が大変です。
という悩みが出てきます。
そんなときに助けになるのが、Airレジなどの無料で使えるPOSレジアプリです。

Airレジとは?
Airレジは会計などのレジの基本機能はもちろんのこと、キャッシュレス決済への対応や売上管理・分析、会計ソフトとの連携など、日々の業務に役立つさまざまな機能が備わったiPadやiPhoneで無料で利用できるレジアプリです。キャッシュレス決済サービスのAirペイと連携できます。
Airレジで在庫管理と売上記録が一気にラクになる
Airレジは飲食店やショップ向けのイメージがありますが、最近はキャッシュレス決済と並行して導入するハンドメイド作家さんも増えています。
レジアプリの導入効果が大きいのは、こんな作家さん

私の友人作家さんは、商品数と在庫量が多いのでこのAirレジを使っています。マルシェ出店時の売り上げと在庫管理がだいぶ楽になったそうです
デメリット・注意点
デメリットは、商品数が多いハンドメイド作家さんほど、最初の登録に時間がかかることです。
商品名・価格・在庫数を一つずつ入力する作業が必要なので、最初だけはどうしても負担があります。
ただし、一度登録すれば日々の会計と同時に自動で記録されるため、年末に「売上データを遡って確認する」必要が大幅に減ります。
相談や申し込みは公式サイトから
Airレジは基本無料で使えるため、Airペイを使っていれば「とりあえず在庫管理や売上記録をラクにしたい」という作家さんにも導入しやすいサービスです。
また、すでにAirペイを導入されてる方は連携が簡単にできるので、一度相談してみると良いと思います。
キャッシュレス決済の導入を考えている方で、Airレジを使用したい方は、まずはAirペイの導入をおすすめします。
まとめ
ハンドメイド作家の棚卸は「日々の管理」がすべて
ハンドメイド作家の棚卸しというと、「材料も全部数えないといけないの?」「年末に何時間もかかりそう…」と不安になる方も多いかもしれません。
ですが実際には、
この日々の在庫管理ができていれば、棚卸しは年末に慌てて行う作業ではなく、「数字と実物を確認するだけ」の作業になります。
特に年間売上が1,000万円以下の免税事業者のハンドメイド作家さんの場合、棚卸しは完璧さよりも継続できる管理が大切です。
無理に細かくやろうとせず、自分が続けられる方法で管理していくことが、結果的に確定申告を楽にし、制作や販売に集中できる環境につながります。
『在庫管理 → 棚卸し → 確定申告』は、すべて一本の線でつながっています。「年末に棚卸しで地獄を見ないために」、今日からできる管理を少しずつ整えていきましょう。



